Lesson3-5 ミルクチョコレートの誕生

フライの作った固形のチョコレートは、画期的ではありましたがまだまだ「おいしい」として世間に広まるほどではありませんでした。

現代のチョコレートと比較しても、まだまだ苦味が強かったからです。

おいしいミルクチョコレートの誕生

それを解決したのが、スイスアンリ・ネスレダニエル・ペーターです。二人はお互いに近所に住む友人同士でした。(ダニエル・ペーター単独で開発されたという説もあります)

Henri Nestlé

Henri Nestlé

ペーターはろうそく職人でしたが、フランスのココア製造工場で働いていたので、カカオの取り扱いについては理解していました。そこで、ろうそくを作りながらチョコレート製造の試行をしていたのです。

一方のネスレは薬剤師で薬局を経営していましたが、その傍らで様々な化学実験を行い、粉ミルクの開発に成功しました。牛乳に、砂糖、小麦粉、穀物を加えて乳児用の母乳代替品を作り出していたのです。

ネスレは、ペーターにこの粉ミルクをチョコレートに加えることを提案します。ところが、当時のチョコレートの材料はまだ粒子が粗かったため、そこにさらに粉ミルクを加えると、ざらざらした食感がさらに増してしまいうまくいきませんでした。

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そこでペーターは、ネスレのライバルが開発したコンデンスミルクをチョコレートに混ぜ合わせてみることにしました。すると、比較的まろやかな舌触りとなり、さらにカカオの強いコクもミルクで程よいものに変化しました。

こうして、スイスにミルク・チョコレートが誕生します。ネスレもこの後、コンデンスミルクを製造するようになり、世界的な食品総合企業へと成長していきます。

Africa Studio/Shutterstock.com

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■Lesson3-5 まとめ■

  • ミルクチョコレートの誕生にはスイスのアンリ・ネスレとダニエル・ペーターの貢献がある。
  • ミルクチョコレート開発の過程で用いられたのは粉ミルクだったが、食感が滑らかにならずに失敗。その後コンデンスミルクの利用によってスイスにミルクチョコレートが誕生する。
  • その後ネスレは世界的な食品総合企業へと成長する。