Lesson4-2 カカオポリフェノール

老化と活性酸素

Evgeny Atamanenko/Shutterstock.com

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「老化の原因は活性酸素」という見解は、ずいぶんと広く知られるようになりました。

私たちは、生きるうえで必要なエネルギーを体内で作り出さなければなりません。その際に必要となるのが、「酸素」です。エネルギーを作り出すために必要な酸素ですが、この酸素は一方で、「酸化」というやっかいな化学変化も発生させてしまいます。鉄が空気中の酸素と結びついてサビついてしまうように、私たちの体の細胞も「酸化」によってサビついてしまうというわけです。

この現象が「老化」であり、老化によって動脈硬化やガンなどの様々な病気が引き起こされます。こうした老化を引き起こす酸素を「活性酸素」といいますが、これを抑制してくれるのが「抗酸化物質(スカベンジャー)」です。

 

カカオの抗酸化物質・カカオポリフェノール

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カカオには、カカオポリフェノールという成分が含まれています。

このカカオポリフェノールは、スーパーオキサイド(過酸化物)という活性酸素を消し去り、その毒性から体を守ってくれる働きがあるといわれ、近年盛んに研究が進められています。

カカオポリフェノールのダイエット効果

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またカカオポリフェノールは、脂肪の燃焼を助け代謝を活発にさせてくれるため、ダイエット効果があることも話題となっています。

カカオポリフェノールは、脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンという物質の血中濃度を高めてくれます。この物質はインスリンの働きを良くする物質なので、糖の代謝を活性化させ、血糖値の上昇を抑えてくれます

そうすると、血中に過剰な糖が長時間滞在することがなくなるため、血液の循環が良くなるのです。血液の循環が良くなれば体中の細胞に酸素が十分に届けられることになりますから、細胞は盛んに代謝を行うようになります。

さらにカカオポリフェノールは、すい臓と肝臓に働きかけ、インスリンの働きを活性化させます。これにより脂肪を燃やす働きが強化され、腸管では糖の吸収を抑制するために、脂肪がつきにくくなります。

ストレス緩和の働き

また老化の大敵ストレスにもカカオポリフェノールは効果を発揮します。カカオポリフェノールにはストレスを緩和させる働きがあるのです。

ラットを使った実験で、身体的ストレスにさらされたラットにカカオポリフェールを与えると、ストレスにうまく適応することができたという実験結果もあり、心理的ストレスに対しても抵抗力が高まることが確認されています。

 

このように、カカオポリフェノールは、血液の循環を良くすることで代謝をアップさせ、かつ脂肪のつきにくい体を作り、ストレスにも有効と、私たちの体に大変に貢献してくれるものなのです。

 

■Lesson4-2 まとめ■

  • 老化には様々な要因があるが、老化の一つの原因である活性酸素は「抗酸化物質(スカベンジャー)」により抑制することができる。
  • カカオに含まれる抗酸化物質であるカカオポリフェノールは、スーパーオキサイド(過酸化物)という活性酸素を消し去り、その毒性から体を守ってくれる働きがある。
  • カカオポリフェノールは体内のインスリンの働きを活性化させることで、血液の循環が良くなったり、脂肪を燃やす働きが強化され、脂肪がつきにくくなるなどのダイエット効果も期待できる。
  • カカオポリフェノールにはストレスを緩和させる働きもある。