Lesson5-3 カカオの生産地

熱帯が中心のカカオの生産

カカオは熱帯の植物のため、現在のところ赤道周辺の国々でしか本格的な生産はできません。

カカオ豆は、そもそもカカオの種子です。このカカオ豆に含まれるカカオバターは、20℃以下では非常に硬くなってしまい発芽ができないため、熱帯でしか育たないと言われています。

ImagoPhoto/Shutterstock.com

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世界のカカオ豆生産量

もともと中米の人々によって貴重な食物として栽培されていたカカオは、16世紀のヨーロッパ人の進出によって需要が拡大、南米やカリブ海周辺地域、東南アジアやアフリカに農場が広がっていきました。

19世紀に入るとアフリカでの生産が増大し、現在に至ります。

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表を見てもわかるように、世界で生産されるカカオ豆のおよそ7割がアフリカ諸国で生産されています。生産量の最も多いコートジボワールでは、世界のカカオ豆の3分の1が生産されていることもデータで見て取れるでしょう。

アフリカで生産されているのは主にフォラステロ種で、チョコレートの生産過程ではベースビーンズとして使用されます。一方カカオの原産地である南米では、希少価値の高いクリオロ種が生産されており、こちらはフレーバービーンズとして用いられています。高級チョコレートは、こうした南米産のカカオが多く用いられています。

 

カカオの有名な産地とその特性

特定の国のカカオだけを使って作られたチョコレートを、「シングルビーンズ」「ピュアオリジーヌ」などと呼びます。ここでいくつかの著名な産地とその特性についてあげておきましょう。

ベネズエラ

まず、フレーバービーンズの生産国として有名なのがベネズエラです。オリノコ川流域は古代文明の栄えた地域で、古くからカカオを利用してきた歴史があります。

クリオロ種のカカオでは「チュアオ」「チョロニ」「オクマーレ」「ポルセラーナ」、トリニタリオ種では「スール・デル・ラーゴ」「カレネロ・スペリオール」「リオ・カリベ・スペリオール」などのブランド豆が人気です。

エクアドル

ベネズエラに次いで人気なのがエクアドル
エクアドルのカカオ豆はフォラステロ系の品種です。花のような優しい香りを持つのが特徴です。

マダガスカル、サントメ

アフリカ大陸に目を移すと、マダガスカル、サントメが有名です。

マダガスカルでは、希少価値の高いクリオロ種の遺伝子を多く含むカカオ豆の栽培に力を入れています。赤褐色の豆なので、やや赤みがかっているのがユニークです。
サントメ産のカカオは、フルーティーな味わいがあることで知られています。

 

インドネシア

東南アジアでもカカオが栽培されており、アジアで最大の生産量を誇るのがインドネシアのジャワ島です。マダガスカル同様にクリオロ種の遺伝子を含む赤い色をもつ豆の栽培が行われています。

ジャワ島のカカオ豆は、アジアでもっとも質の高いフレーバービーンズとの評価を得ています。

 

■Lesson5-3 まとめ■

  • カカオは赤道周辺の国々でしか本格的な生産はできない。それはカカオの種子のカカオバターは、20℃以下では非常に硬くなり発芽ができないためとも言われている。
  • 世界で生産されるカカオ豆のおよそ7割がアフリカ諸国で生産されている。
  • 生産量の最も多いコートジボワールでは、世界のカカオ豆の3分の1の生産量を占める。
  • 地域的特徴としては、アフリカでは主にベースビーンズとして使用されるフォラステロ種が、カカオの原産地である南米では、フレーバービーンズとして使用される希少価値の高いクリオロ種が生産されている。
  • 特定の国のカカオだけを使って作られたチョコレートを、「シングルビーンズ」「ピュアオリジーヌ」などと呼ぶ。
  • シングルビーンズチョコレートの産地としてはベネズエラ、エクアドル、マダガスカル、サントメ、東南アジアはインドネシアのジャワ島が有名。