チョコレート生産量が多い国
カカオ豆は、発酵の工程を経てほどよく乾燥された後に、「チョコレートを作る国」へ輸出されます。カカオ豆の生産国である気温の高い熱帯地域ではカカオバターが溶けてしまうため、上質なチョコレートを作ることが難しいためです。
チョコレート生産が多い国
チョコレートの生産が多い国は、ドイツとアメリカです。年間の生産量は各国ともにおよそ120~160万t。かなり大雑把な数字になりますが、世界で生産されるチョコレートが350~400万t程ですので、世界のチョコレートの7~8割程度がこの両国で作られていることになります。
また、日本の生産量が年間20万t程度ですから、ドイツとアメリカの生産量がいかに多いかがわかります。ですが日本のチョコレート菓子は人気が高く、国内だけでなく海外に向けても生産しているため、生産量は世界5位辺りに位置しています。
チョコレートの消費量が多い国
生産量の次は消費量を見ていきましょう。一人当たりの消費量もドイツとアメリカは比較的多くなっています。
しかし、やはりヨーロッパ諸国の消費は圧倒的な量であることが分かります。
日本のチョコレート消費
では日本はどうでしょうか。
スーパーやコンビニで目にする機会も多く、日本人もかなりチョコレートが好きで沢山食べているような印象がありますが、最新(2013)のデータでも実は2㎏に及びません。これを1日換算すると5g程度にしかならないのです。とても欧米の比ではないことがわかります。(詳しくはチョコレートコラムコラム7・日本のチョコレート事情を参照)
カカオ生産国のチョコレート消費とチョコレートマネー
その一方で、チョコレート消費国のランキングの中に主要なカカオ生産国である西アフリカや、中南米諸国がほとんど入ってはいません。
チョコレートの輸入額を比較してみても、ベスト10に入るのは、欧米諸国、アジアでは日本だけです。日本はそもそも消費量自体が多くはありませんが、それでも日本円に換算すると(当時のレートがだいたい1ドル=100円)500億円です。欧米諸国だけでその12倍の金額が動いています。
IMF(国際通貨基金)の統計によれば、カカオ生産第一位のコートジボアールは西アフリカでも経済的には発展しているほうですが、そのGDPは282億ドルです。チョコレートには、巨額のお金が動いている事がわかります。
このように、カカオ生産国は発展途上国といわれる国々であることなのは誰もが気付いているでしょう。こうした国の農場では、児童の酷使や低い労働条件などがたびたび問題になります。学校にも行けずに子どもたちが一日中働いて収穫したカカオが、日本をはじめとする経済的に豊かな国々の人々にもてはやされるという実態もまた、チョコレートの一側面なのです。
フェアトレード
こういった実情をなんとか改善していこうと生まれたのが、Lesson5-2でも少し触れた「フェアトレード 」という取り組みです。
フェアトレード=正当な価格取引と支え合い
フェアトレードとは、生産者が人間らしく暮らし、より良い暮らしを目指すため、正当な値段で作られたものを売り買いすることです。
いわゆる途上国と先進国、または企業間の取引がそもそもフェアではないため、カカオ農家に限らず十分に生活することができない賃金で働き、貧困に苦しむ途上国の生産者達がいる現状があります。そうならないために、フェアな取引をしてお互いを支え合おうというのがフェアトレードのコンセプトです。
フェアトレードのチョコレート製品は近年見かける機会も多くなっています。実際に高品質でおいしいものも多いので、目にした機会に一度手に取ってみてください。
■Lesson5-4 まとめ■
- チョコレートの生産が多い国はドイツとアメリカで、年間の生産量は各国ともに約120~160万tと、世界で生産されるチョコレートの7~8割程度を占める。日本の生産量は年間20万t程度である。
- チョコレートの消費量は、ヨーロッパ諸国が圧倒的に上位を占めている。日本には進出していないチョコレートブランドも多くみられる。
- カカオの生産国とチョコレートの消費国は大きく異なり、発展途上国で安く生産したものを先進国が利用している産業である。多額のお金が動くカカオ産業の現実的側面として、途上国の農業者や子供の労働という事実がある。
- 「フェアトレード」とは、生産者が人間らしく暮らし、より良い暮らしを目指すため、正当な値段で作られたものを売り買いすること。近年、チョコレートやコーヒーを始め、このような取り組みの製品が多く流通するようになり人気を集めている。