Lesson6-1 チョコレートの甘い誘惑

チョコレートだけでもおいしいですが、それにさらに手を加えると、とても素敵なお菓子になります。こうしたチョコレートを使ったお菓子は世界各地に様々なものがあり、伝統的なものから斬新な発想で新しく開発されるものまで、本当に沢山の種類があります。

ボンボン・ショコラはもちろん、チョコレートを使ったケーキやクッキー、ドリンクにムース、タルト、パイetc……。どれもこれも魅力的過ぎて、こうした誘惑には逆らうことは大変難しいでしょう。

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おいしいチョコレートが食べられればそれだけでも十分幸せですが、カカオやチョコレートについてここまで学んできたからには、こうしたチョコレート菓子についても理解を深めていきましょう。

単なる「おいしい!」から「心から愉しみ深く味わう」へ、チョコレートソムリエとしてそのスキルをレベルアップさせましょう。

 

ボンボン・ショコラの基礎知識

日本にもチョコレート専門店が続々と増えています。

ショーウィンドーに並ぶボンボン・ショコラは、見ているだけでも楽しく、宝石のように美しいチョコレートは芸術作品ともいえます。ここでは、そんなボンボン・ショコラについて学んでいきましょう。

 

ボンボン・シヨコラとは

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様々な風味付けをした一口サイズの砂糖菓子のことをボンボンといいます。かの有名なイタリアのメディチ家から、アンリ4世に嫁いだマリー・ド・メディチによって、フランス宮廷にもたらされたのが始まりと言われています。

一口サイズのチョコレート菓子が、ボンボン・ショコラ(ボンボン・オ・ショコラ)です。同じものをベルギーでは、プラランという美食家だった公爵の名前からとって、「プラリーヌ」と呼びます。ちなみに英語になると、チョコレート・ボンボンです。(以下、ボンボンといいます。)

小さなお菓子ですが、そこにはショコラティエの個性、思想、技術などが全て詰まっています。その数は無限大。ですから、その楽しみも無限大です。古典的なものを食べ比べても面白いですし、一つの種類にこだわって複数のお店で食べ比べも新たな発見があるでしょう。

それでは、ボンボンの種類を学んでいきましょう。種類と言っても、その違いは何によって分けるかにより変わってきます。例えば

  • 形状で分ける
  • 色で分ける
  • 仕上げ方で分ける
  • ボンボンの中味で分ける

などの方法があります。ここでは、形状とセンターによる分類をとりあげていきます。

 

 ボンボンショコラの分類

①形状で分ける

モールド(型取り)

ベルギーで盛んに作られる、型に流し込むタイプのチョコレート。形が均一で美しいのが特徴です。

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絞り出し

トリュフなどに代表される、絞り袋で絞り出す方法で作るボンボンです。

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ギターカット

正方形や長方形、ひし形などにカットされたものです。一度にたくさんの量を切るための道具をギターカッターといいます。

クーゲル

センターを包む被膜を先に作って、あとからその中にガナッシュを詰め込みます。丸みを帯びた形が可愛らしいボンボンです。

アルミケース

アルミカップに直接センターを流したものです。

 ②センター(チョコレートの中のもの)で分ける

プラリネ(Pralinê)

ナッツをキャラメリゼ(砂糖を火で焦がしたり、シロップを煮詰めたりしてあめ色にすること)してから、ペースト状に挽いたもの。ナッツの比率が増えるにしたがって、価格が上がります。

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ジャンドゥージャ(Gianduja)

チョコレートとナッツを合わせて、ペースト状にしたものです。ナッツの量が多ければ、その分おいしくなります。市販品は、ナッツの配合率が30~50%程度です。

GooDween123/Shutterstock.com

GooDween123/Shutterstock.com

 

ガナッシュ(Ganache)

生クリームまたは牛乳とチョコレートを乳化させてペースト状にしたものです。滑らかな舌触りが魅力です。

ボンボンで最も使用されるセンターがこのガナッシュです。プレーンな味のもの、洋酒が入ったもの、苦味が強いもの、フルーツ味のもの、ハーブやスパイスが入ったものなど、さまざまな種類があります。

Liliya Kandrashevich/Shutterstock.com

Liliya Kandrashevich/Shutterstock.com

 

フォンダン(Fondant)

砂糖をなめらかに結晶化させたものです。

 

パート・ダマンド・コンフィズール(Pâte d’amandes confiseur)

コンフィズリー(糖菓)用のマジパン。アーモンドと糖分が1:2というのが基本です。

 

キャラメル・ムー(Caramel mou)

生キャラメルのこと。キャラメルは、固いものより柔らかめに仕立てたものがチョコレートに合います。

Cristi Kerekes/Shutterstock.com

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ヌガー・ド・モンテリマール(Nougat de Montêlimar)

アーモンド28%以上、ピスタチオ2%以上を含む白いヌガーです。

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パート・ド・フリュイ(Pâte de fruit)

ペクチンでフルーツのピュレを固めたゼリー。

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■Lesson6-1 まとめ■

  • 様々な風味付けをした一口サイズの砂糖菓子のことをボンボンという。マリー・ド・メディチによって、フランス宮廷にもたらされたのが始まりと言われている。
  • 一口サイズのチョコレート菓子を、ボンボン・ショコラという。
  • ボンボン・ショコラはその形状、色、仕上げ方、ボンボンの中味によって様々な種類がある。