Lesson6-3 チョコレートを使った世界のお菓子

一口サイズのボンボンも魅力的ですが、やはりチョコレートを使ったお菓子を堪能しないままにチョコレートソムリエを名乗ることはできないでしょう。特に、チョコレートを使ったケーキは世界中に様々なものがあります。

伝統的なチョコレート菓子はどれも有名なものばかりなので、一度は口にしたことがあるでしょう。しかしそれぞれの由来や、どのように作られているかはご存じない方も多いのではないでしょうか。

今まで何となく食べていたチョコレートケーキも、きちんと知ると改めて味わいたくなります。

 

 オペラ

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まずはフランスのオペラから。

パリのオペラ座近くにあったダロワイヨというお店で、1890年代に作られました。伝統的なオペラは、金箔をあしらいます。これは、オペラ座のドームにあるアポロンの竪琴をイメージしたものだと言われています。

Claudia Carlsen/Shutterstock.com

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ガナッシュ、コーヒーシロップをしみこませたスポンジと、コーヒー味のバタークリームを何層も重ね、ショコラをかけたケーキです。濃厚で深い味わいが特徴で、最近ではいろいろなアレンジが施されたオペラも増えています。

 

 ガトー・ショコラ

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ガトー・ショコラ・クラシックともいいます。

しっかりと泡立てた卵に、溶かしたチョコレートとバター、粉を混ぜ込んで焼くだけのチョコレートを使った焼き菓子の中では、ベーシックなものなので、家庭的なお菓子でもあります。

何も入れずに焼いてもいいですし、ドライフルーツやナッツを入れてもおいしく仕上がります。最後に振り掛ける粉糖の白と、チョコレートの褐色のコントラストが美しいケーキです。

なお、ガトー・ショコラとは、フランス語で「チョコレート菓子」全般をさす言葉です。

 

ブラウニー

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さて、ちょっと考え込んでしまうのがアメリカのチョコレート・ケーキであるブラウニー

ガトー・ショコラが英語になるとブラウニーという解説もあり、インターネットでも、ガトー・ショコラで検索をかけると、ブラウニーもヒットします。このように定義があいまいですが、ガトーショコラとブラウニーではレシピが若干異なります

ガトー・ショコラは、卵白と卵黄を分けて使い、メレンゲを入れて柔らかく仕上げます。それに対して、ブラウニーは、平たく正方形に焼いて、切り分けて食べます。ブラウニーは、全卵を使用し、チョコレート分がガトー・ショコラよりも多いので、さらに濃厚な味わいになります。ナッツなどを混ぜ込んで焼くことが多いのも特徴です。

 

エクレール

エクレア

エクレールは、日本ではエクレアと呼ばれてるのが一般的となっています。

シュー生地のパリッとした食感と、なめらかで濃厚なクリームがたまらないエクレール。エクレールとは、フランス語で「稲妻(もしくは電光石火)」を意味します。

いったい、このお菓子のどこが稲妻なのかというと、実は、稲妻がぴかっと光るように「すばやく一口で食べる」ということから名づけられたものなのだそうです。確かに、あっという間になくなってしまい、つい、もう1個……と手をのばしたくなるお菓子です。

チョコレート風味の他にもコーヒー風味のものがベーシックですが、最近ではいろいろなバリエーションがあります。

 

ムース・オ・ショコラ

Liliya Kandrashevich/Shutterstock.com

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ムース・オ・ショコラとは、その名前の通りムース状の口溶けのよいチョコレートです。泡立てた卵や卵白にチョコレートやゼラチンを加え冷やし固めます。

日本ではあまり有名なショコラではありませんが、フランスでは最もなじみのあるデザートで、家庭により様々なレシピがあります。小さなグラスやココットに入っている事が多く、シンプルなレシピなためショコラティエのアレンジが見られるのも楽しみの一つです。

 

ホット・チョコレート

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チョコレートの歴史の部分でも登場したチョコレートドリンクです。

現在ホット・チョコレートは世界中に広まり、特にヨーロッパでは伝統的に冬の飲み物として愛飲されています。日本のココアとは少し異なり、チョコレートを溶かす濃厚なタイプが一般的です。

日本でもショコラティエサロンやレストランなどで、カカオのパーセンテージが異なるものやスパイスを加えたものなど様々なホット・チョコレートを楽しむ事が出来ます。

 

ブッシュ・ド・ノエル

AlisaRut/Shutterstock.com

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フランスのクリスマス(ノエル)の定番ケーキです。大きさも形も様々ですが、薪(ブッシュ)のよう樹皮や切り株をイメージしたデコレーションがなされます。

日本人がお正月やお盆に家族みんなが集まるように、欧米諸国ではクリスマスに集まってパーティーをします。フランスでは、その最後を飾るデザートがこのケーキで、ケーキを薪のようにデコレーションする理由は、や火事除けのおまじないであるとか、冬に暖をとるためには欠かせない大事なものだから、など諸説あるようです。

ブッシュ・ド・ノエルのデコレーションに欠かせないのが、キノコ(の形をしたお菓子)。古木に生えるキノコを添えることにより、よりリアルな演出効果が得られますが、それだけではなくキノコの旺盛な繁殖力にあやかる意味もあります。

可愛らしいものから、ジオラマ のようなリアルなブッシュ・ド・ノエルまでといろいろなデザインがあって、とても楽しいケーキです。

 

■Lesson6-3 まとめ■

  • オペラ・・・パリのダロワイヨで1890年代に作られる。伝統的なオペラは金箔をあしらっており、これはオペラ座のドームにあるアポロンの竪琴をイメージしたものである。
  • ガトーショコラ・・・ガトー・ショコラ・クラシックともいう。チョコレートを使った焼き菓子の中ではベーシックなもので、家庭的でもよく作られる。ガトー・ショコラとは、フランス語で「チョコレート菓子」全般をさす言葉である。
  • ブラウニー・・・アメリカのチョコレート・ケーキ。ガトー・ショコラとの違いが曖昧な点もあるが、ブラウニーは、全卵を使用しチョコレート分がガトー・ショコラよりも多く、ナッツを入れるなど濃厚な味わいが特徴。平たく正方形に焼いて、切り分けて食べるのが一般的。
  •  エクレール・・・日本ではエクレアと呼ばれる。エクレールとは、フランス語で「稲妻(もしくは電光石火)」を意味し、稲妻がぴかっと光るように「すばやく一口で食べる」という言葉が由来とされる。
  • ムース・オ・ショコラ・・・フランスでは最もなじみのあるデザートで家庭により様々なレシピがある。小さなグラスやココットに入っている事が多く、ショコラティエのアレンジが楽しめる冷たいデザートである。
  • ホット・チョコレート・・・チョコレートの歴史の部分でも登場したチョコレートドリンク。特にヨーロッパでは伝統的に冬の飲み物として愛飲されている。チョコレートを溶かす濃厚なタイプが一般的。
  • ブッシュ・ド・ノエル・・・フランスのクリスマス(ノエル)の定番ケーキ。薪(ブッシュ)のよう樹皮や切り株をイメージしたデコレーションがなされる。薪のようなデコレーションは、雷や火事除けのおまじない、冬に暖をとるためには欠かせない大事なものだから、など諸説ある。デコレーションに欠かせないキノコ(の形をしたお菓子)は、キノコの旺盛な繁殖力にあやかる意味もある。