Lesson1-2 カカオの樹

「良質なカカオ“豆”をふんだんに使って……」などと言いますが、カカオは「豆」ではありません

カカオは、「アオギリ科」に属する常緑樹です。同じアオギリ科の仲間に「コーラ」があります。あの炭酸飲料の「コーラ( 学名:Cola )」は、このコーラの種子であるコーラ・ナッツのエキスを利用した飲み物です。アオギリ科からは、世界中の人々を虜にした嗜好品が2つも生まれているのです。

 

カカオの実がなるまで

農園で栽培されているカカオの樹は、5m前後の背丈しかありません。枝葉をつけると全体で直径5m~8mくらいの広がりになり、幹や枝に白やピンクの小さなかわいらしい花をつけます。

PixieMe/Shutterstock.com

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カカオの花は虫媒花(虫、主に昆虫によって受粉が行われる花)だと言われていますが、具体的な受粉の仕組みはまだ詳しくわかっていません。また、花のうちのわずか5%程度しか実をつけないのですが、その理由も明らかではないという謎の多い植物です。

カカオの実をカカオポッドといいます。
最初は小さなキュウリのような形ですが、収穫期にはちょうど大人の両手に乗るくらいの大きさにまで育ちます。重さは700g前後で、その色は、黄色やオレンジ、暗い赤や紫まで、実に変化に富んでいます

1本の樹にだいたい20~50個程度の実を付けるといわれますが、特異なのはそのなり方です。リンゴやミカンなど枝からぶら下がるような一般的な「木の実」とは全く異なり、幹のあちらこちらから、いくつかの実が群がった状態で、ぶら下がるようにして実をつけます。
日本ではこのような植物は基本的に見ることがないため、私たちにはかなり奇異なものに見えることでしょう。

ImagoPhoto/Shutterstock.com

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カカオポッドの外皮は固く、縦に筋が入っています。これを割ると中から柔らかで果汁をたっぷりと含んだ白い果肉と種子が出てきます。アケビの実に近い印象です。この果肉をパルプといい、甘酸っぱくてフルーティなので、現地では子どもたちがおやつにすることもあります。

Kerdkanno/Shutterstock.com

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一つのカカオポッドにはだいたい30粒くらいの種子が入っており、これが「カカオ豆」と言われているものです。

 

■Lesson1-2  まとめ■

  • カカオは、「アオギリ科」に属する常緑樹。同じアオギリ科の仲間に炭酸飲料の「コーラ」の原料にも使用されるコーラ・ナッツがある。
  • カカオは白やピンクの花をつけるがそのうち約5%程度しか実をつけない。
  • カカオは一本の樹に20〜50程度の実をつける。実のなり方は特殊で、幹から直接実がぶら下がるようになる。
  • カカオの実はカカオポッドと呼ばれる。白い綿のような果肉と種子に分かれ、種子がカカオ豆といわれる