Lesson7-2 テイスティングの実践

n7atal7i/Shutterstock.com

n7atal7i/Shutterstock.com

テイスティングの進め方

準備

  • 室温と湿度をチェックします。チョコレートはとてもデリケートなので、少し肌寒いかもしれませんが、室温は高くても20℃までが適しています。湿度は50%ぐらいまでとします。これらの条件にぴったりな季節は冬。テイスティングのベストシーズンです。
  • 少し空腹感を感じる程度の状態で臨みます。できれば午前中や夕方などがよいでしょう。何度かに分けて行うときには、同じ時間帯に実施するようにします。
  • テイスティングの前には、刺激の強いものの飲食、喫煙は避けてください。また、強い香水などで装うのもやめましょう
  • 口の中のニュートラルな状態に保つために、味覚をリセットできるものを用意します。常温の水(軟水のミネラルウォーター)が良いでしょう。ワイングラスなどに注いだほうが、おしゃれな雰囲気を演出できます。

気分も盛り上がってきたら、いよいよテイスティングです。

実践

テイスティングは始めからたくさんの種類をあれこれ試すのではなく、的を絞って3種類程度のチョコレートでスタートしましょう。基本は、軽いものから重いものへ、カカオの濃度が低いもの・味の軽いものから始めていきます。

具体的にはホワイト→ミルク→スイート→ダークといった順番です。

①「見る」

なめらかな艶、色、ブルーミングの有無(あったら論外ですが)など、まずは見た目をチェックしましょう。

②「聞く」

ほどよい力で割れるのがよいチョコレートです。パキッという軽やかな音も楽しみます。

③「香り」

まず、パッケージを開けたときのチョコレート独特の甘い芳香を楽しみます。一瞬で散ってしまう香りですので、逃さないように意識してみましょう。口に含んだ時には、チョコレートをゆっくりと舌の上で転がしながら、鼻に抜ける香りを味わいます。

④「味わう」

バリバリと噛み砕かないようにしてください。ゆっくりと舌の上でとけていく感触を分析しましょう。なめらかに溶けていくものもあれば、ざらざらと溶けるもの、ねっとりと溶けるものなど、チョコレートの成分によって変化します。

  • 甘み : 舌の先で感じるのが「甘み」です。甘すぎるものは、甘さで品質の低さをごまかしているものもあります。甘みは動物が本能的に「好き」と思う味覚ですから、厳しくチェックしましょう。
  • 苦味 : カカオ分が高ければ高いほど、苦味は増します。食べなれない人には、薬のように感じ少々抵抗があるかもしれませんが、この苦味の評価こそがチョコレートテイスティングの最大のポイントです。

その他にも、酸味や渋味、塩味などもあります。テイスティングに慣れてきたら、これらの味覚も意識してみましょう。

⑤「余韻」

チョコレートの特徴は、「余韻」が続くことです。長く余韻が続くチョコレートは、良いチョコレートの証とも言われてます。ゴクンと飲み下して終了、ではなく余韻も味わいましょう。

 

記録を付ける

大人数で行うテイスティングは意見交換で新しい発見を

チョコレートテイスティングを何人かで集まって行うなら、ぜひ、お互いの感想を述べ合いましょう。味覚や感じ方は人によってそれぞれですが、だからこそ意見交換を行うことで新しい発見があります。

自分の感じ方とは異なる個性的な表現を聞く楽しみや、大勢で真剣に向き合う大人の趣向としてもとても魅力的な会になります。

一人で行うテイスティングではチョコレート・ノートを

一人で行う場合には、テイスティングの記録を付けるチョコレート・ノートを作るのもおすすめです。スクラップ・ブッキングにして記録しておくと、素敵なテイスティング・ノートになります。

写真やパッケージをマスキングテープなどでデコレーションし手書きでコメントを書き込めば、友達にも見せられる楽しいチョコレートアルバムになります。

notebook-731212_640

あなただけのチョコレート・テイスティング

有名なチョコレート・ブランドのテイスティング・セットもよいですが、町のお菓子屋さんで見つけたチョコレートにもそれに負けない魅力が詰まっています。おいしいものをおいしいと思う気持ちがあれば、テイスティングは成立です。

お酒とのマリアージュや、ボンボン・ショコラのテイスティングも

また今回ご紹介したブラックチョコレート・テイスティングだけではなく、ボンボンショコラのテイスティングや、チョコレートとワインの相性を感じるテイスティングなど、様々なテイスティングが可能です。

Arina P Habich/Shutterstock.com

Arina P Habich/Shutterstock.com

ボンボンショコラのテイスティングは、イベントとしてパーティのようにみんなで持ち寄ったものを楽しんでも素敵な演出となります。

chocolate-993319_640 (2)

 

 

テイスティングはチョコレートを愛し楽しむこと

テイスティングの準備、方法などの基本はありますが、1番はチョコレートへの愛とそれを楽しむことです。難しく考え過ぎて味わえないようでは、テイスティングの意味がありません。

あなただけのチョコレート・テイスティングを楽しんでください。

 

■Lesson7-2 まとめ■

  • デリケートなチョコレートを最良の状態で楽しむため、チョコレートテイスティングはしっかり準備するとよい。室温と湿度をチェックし、室温は高くても20℃まで、湿度は50%ぐらいまでが適している。季節は冬がおすすめ。
  • 少し空腹感を感じる程度の状態で、できれば午前中や夕方に行うとよい。
  • テイスティングの前には、刺激の強いものの飲食や、喫煙、強い香水などを避ける。
  • 味覚をリセットするための常温の水(軟水のミネラルウォーター)を用意する。
  • テイスティングはチョコレート3種類ほどから始めるとよい。食べる順番は軽いものから重いものが基本。
  • テイスティングは五感をフル活用し、見た目、音、香り、味、余韻を感じることがポイント。
  • 複数人で行う場合は、お互いに意見を交換すると自分とは異なる感じ方を発見できる。また、テイスティングノートなど記録をつけることもおすすめ。