チョコレートコラム7・日本人のチョコレート事情

日本のチョコレート市場は、世界的に見るとちょっと面白い特徴があります。

Lesson5-4にて記載させていただきました通り、日本のチョコレート生産量は世界でも5位に入ります。平成24年のデータでは、その生産額は3210億円、小売金額は4445億円です。生産量が多いのは、和生菓子、ビスケット、スナック菓子、米菓に次ぐ5位なのですが、生産金額では3位、小売金額になるとトップの和生菓子に次ぐ2位にまでランクを上げます。いかにチョコレートが売れているかがよくわかりますね。

このように人気のあるチョコレートですが、日本人は年間にどのくらいチョコレートを食べているのでしょうか。

ちなみに世界生産量トップを誇るドイツは、1年間に11㎏、アメリカで5㎏程度といわれています。それに対して、日本人はどのくらいでしょうか。
小売金額で4500億円に迫る市場になっているチョコレートですから、日本人も相当チョコレートが好きで食べているであろうと思われますが、実は日本人の年間一人当たり消費量にすると、1.9㎏ほどです。これでも年々消費は増えており、30年間かけておよそ600g増加してきました。この一人あたりの年間消費量1.9㎏を1日の消費量として換算すると、1日わずかに5g。一般的な板チョコが1枚約50~55gですので、日本人は板チョコ1枚を10日かけて食べている、という計算になります。ですから、世界的にみると、日本人はあまりチョコレートを食べていない、ということになるわけです。

では、日本人はどんなチョコレートを食べているのかというと、100%チョコレート生地の商品よりも、チョコレート生地を素材としてさまざまに加工した「チョコレート菓子」が最も多いというデータがあります。確かにコンビニエンスストアなどの売り場を見回しても、チョコレートがけのビスケットやパイ、ビスケット生地のなかにチョコレートクリームが詰まったもの等々、チョコレートそのものよりも、チョコレートを加工したお菓子の方に人気がありますし、バリエーションも多く、また新商品も次から次へと開発されています。この、チョコレート加工菓子が豊富で人気があるということが、日本のチョコレート市場の大きな特徴であるといわれています。

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また、日本のチョコレートを語る上で、バレンタインデーという特異な行事も無視できませんね。
そもそもはキリスト教の恋人たちの伝説に基づいている行事ですが、日本では冬の風物詩となっており、お正月が過ぎてからのほぼ1ヶ月間、町中にチョコレートがあふれます。節分の豆まきは忘れても、チョコレートは忘れない、という勢いです。

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こうした日本流のバレンタインデーは、1937年ごろから始まり、1960年代に定着したといわれます。今ではチョコレート業界にとっては1年で一番の稼ぎ時となっており、シーズンの売り上げは、推定で約500億円年間の小売額の1/8がこのシーズンに集中していることになります。
500億円を突破したのは2000年代に入ってからで、若干の増減はあるものの金額的には年々増加傾向にあります。

こうした日本独特のチョコレート文化は今後も様々に変化していくでしょう。いろいろと調べていくと面白い発見があるかもしれません。