チョコレートコラム1・生チョコってなに?

Lesson2で、一口にチョコレートと言っても成分によって厳密な区別があることを詳しく説明しています。商品によって「ナッツたっぷり……」「生チョコレート」という表示があるチョコレート。こうした表示を「特定事項」といいますが、実はこれにも表示基準があるのです。

 

様々なチョコレートの特定事項表示基準

◆ミルクチョコレート

原料にカカオ分だけではなく、「乳固形分」を混ぜ合わせたチョコレートを「ミルクチョコレート」と言います。スイスで開発されたこの方法によって、チョコレートは「飲み物」から「食べ物」へ大きく変貌を遂げました(詳しくはLesson3-5Lesson3-6参照)。このように、「乳固形分」を混ぜ合わせたミルクチョコレート生地または準ミルクチョコレート生地を使用したチョコレートや準チョコレートには、それぞれ「ミルクチョコレート」「準ミルクチョコレート」という表示をしてもよいことになっています。

 

◆生チョコレート

次に高級チョコレートの代名詞のように扱われている「生チョコレート」について見てみましょう。「生チョコレート」と表示できる条件を箇条書きにしてみます。

A:

  • チョコレート生地が全重量の60%以上
  • クリームが全重量の10%以上、かつ水分(クリームのなかに含まれるものを含む)が全重量の10%以上であるチョコレート

まず、この2つが大前提となります。また、

B:

  • このチョコレートを全重量の60%以上使用し
  • かつチョコレート生地が全重量の60%以上であるチョコレート加工品

C:

  • このチョコレートを全重量の60%以上使用し、
  • かつチョコレート生地の重量が全重量の40%以上60%未満であるチョコレート加工品

このように、条件A(①)または、条件AとB(②)、条件AとC(③)をクリアしたもの(つまり①~③)が「生チョコレート」と強調して表示されるわけです。ただしあくまでもこれは「強調表示」ですので、①と②については種類別の名称は「チョコレート」となり、③は「チョコレート菓子」という表示になります。ですから、「生チョコレート」と言っても、「チョコレート」と「チョコレート菓子」との区別があるわけですね。

 

◆ナッツたっぷり……?


チョコレートとナッツ、果物はとても相性がいい(相性のいい組み合わせを「マリアージュ」と言う)ので混ぜ合わせられることも多いですね。この場合そうした素材がたくさん入っていることを示すために、商品の名前や、イラスト、写真、または説明文などをパッケージに添えることがあります。しかしこうした場合にも、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」の「施行規則」「ナッツ類、果物類にあっては全重量の5%以上」などと規定されており、それぞれの基準量以上を使用していなければ表示してはならないとされています。

また、「○○たっぷり……」のように原材料が多量に含まれているような表示をする場合にも、「施行規則で規定しているそれぞれの基準量の2倍以上の量(ナッツ、果物類にあっては全重量の10%以上)」を使用していなければ表示してはならないとされています。

チョコレートのパッケージはとても華やかでおしゃれなものが多いため、私たちはどうしてもそうしたパッケージに目がいきます。パッケージのイメージで商品の味を想像することも多いでしょう。ですが、そのイメージでつい手に取ったが期待はずれだった、ということにならないようにきちんと成分表示を確認したいものです。